末路

結果こうなった。チラシの裏の読書感想文。

景色が変われば、感じ方が変わる。

今回読んだ本:そなえ/野村克也

 

その昔、私のメンターが「君はまず、本を読め」と勧めてくれました。私の了見の狭さを見兼ねて、先ずは広くいろんな事を知る、考えるきっかけを持ちなさい。という意味でした。そう言われ、最初に何を買ったのか、それを読んでどう感じたのかは覚えていませんが、結果的に読書にハマり、いろいろ読み漁るうちに「野村克也」の著書に出会い、衝撃を受けました。心の持ちようが変わりました。考え方や行動が(少しは)変わりました。人生を変えてくれました。私の中での「野村克也」は「野村監督」ではなく「野村師匠」です。基本的に野村克也の本で出てくるキーワードや根底にある考え方は一緒。ただ、この本はそれらのエッセンスがわかりやすくまとめられているので、野村克也入門書としては良書です。

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心が変われば態度が変わる、
態度が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
運命が変われば人生が変わる
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本の一節にこういう記載があります。もとは、ヒンズー教の教えにある言葉だそうですが、野村さんは、この記載の中で、ミドルエイジに向けて技術的進歩を目指す前に、まず人間的成長を目指しなさい(逆を言えば、人間的な成長がなければ、技術的進歩はない)と言っています。この一節は人間が成長するプロセス・段階そのものだと思います。ただし、いずれも受動的。この一節を読んだ時に「心を変えるのが難しいのに!どうやって心を変えればいいんだ!」と悩みました。心を変えるため、いろいろ試しました。目指すべきメンターの真似をしてみる(メンターが言いそうなことを、言いそうなタイミング、モノマネをしてみる)、いつもの自分と真逆の心持ちですごす、あえて考えない。などなど。いろいろ試していくうちに一つの真理が見えてきました。

 

「景色が変われば、感じ方が変わる。」

 

立場や環境が変われば、自ずと見える範囲が変わるし、周りからのコミュニケーションの取り方(取られ方)が変わってくることに気がつきました。そう。能動的に環境を変えると、心が変わるんです(心が変われば態度が変わり、、、)。自分は運良くメンターをはじめ、いろんな方の協力のもと仕事やプライベートでの立ち位置を変えていただいたお陰で、いろんなことが見えるようになってきました(間違いなく人生も変わりました)。話は変わって、世の中の偏見の一例として「結婚してないから、ダメだ」「子供を育てたことがないから一人前じゃない」といった話を聞くことがありますが、私の考えは少し違っていて「結婚したからこそ、子供を育てたからこそ、実体験として理解できることがある。」良い悪いではなく、そういった環境や責任ある立場になった時に、何が見えているのかをちゃんと感じ取れることが大事だと思います(親になっても、自分が親である認識がない人がいるように)。結婚しろ、子供を育てろという話ではないですが、自分を変えたくば、自ら環境を変えることが一番の近道である。というそういうお話です。

野村沙知代さんのご冥福をお祈りいたします。


その他、読んでいて気になったキーワード
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■Chapter1 人間的成長なくして技術的進歩なし
+技術を磨く前に人間を磨け
・「人のためになってこそ人間、他人があってこその自分」
・人生と仕事は切り離して考えることはできないのであり、ともすれば、いくら技術を磨いても、考え方、取り組み方が変わらなくては、進歩することもないのである。

+よい仕事をするためには人生観を確立せよ
・仕事とは生きるための手段であり、人生を生きること自体が目標
・仕事の中だけで認められてもしょうがない。一般社会の中で認められることが大切。そのためには、しっかりした人生観を確立しなくてはならない。

+褒められているうちは半人前と自覚せよ
・「人間は、無視・賞賛・非難の順で試される」
・「今に見てろよ」「絶対に見返してやる!」と強く思い、「どうして叱られたのだろう」「何がいけなかったのだろう。何が足りなかったのだろう」と自問自答できる人間は、絶対に伸びる。

+評価とは他人が下すものである
・その人間の価値、評価というものは、自分ではなく、他人が決めるのである。他人が下した評価こそが正しい。
・チームの中心を担うような選手には、「チームの鑑」、つまりすべての面で他の選手の手本となることが求められる。

+なぜ茶髪とヒゲはダメなのか
・仕事に対する姿勢、覚悟というものは、まず見た目に表れる
・しっかりした仕事をしていれば、見た目で目立つ必要はない。
・弱いチームは規律が甘い。乱れている。
・自分だけが思い込んでいることは、個性でもなんでもなく、ただの独りよがりにすぎない。

+言葉を身につけよ
・自分が無知であることを自覚し、あらゆることにアンテナを張り巡らせておく。
・じつはたくさんのことを知らないと、自分が無知であることを自覚できない。(だから本を読み、人の話を聞くことが大切)

+難しさを知らなければ、真の優しさにはたどり着けない
・やさしい道と難しい道があったら、あえて難しい道を選べ


■Chapter2 「失敗」と書いて「せいちょう(成長)」と読む
+結果よりプロセスを大切にせよ
・プロフェッショナルのプロとは、プロセスのプロ
・一に準備、二に準備
・備えあれば憂いなし

+一にこだわれ

+人間の最大の悪、それは「鈍感」である
・鋭い感性をもたない人間は、少なくとも持とうとしない人間は、絶対に一流にはなれない

+メモをつけよ
・メモすることが癖になると「感じること」も癖になる
・メモは連想を呼び、さらに想像(創造)力を刺激する

+「失敗」と書いて「せいちょう(成長)」と読む
・結果に至るプロセスが正しければ、それでいい。つぎはぎが成功する確率のほうが、高いはずだ。
・勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし

勝利の女神は言い訳を最も嫌う
・言い訳をする選手は伸びた試しがない。
・言い訳は進歩の敵

固定観念は悪先入観は罪
・断じて敢行すれば、鬼神も之を避く
決意を持って望めば、鬼神もおそれて避ける都いう意味。固定観念と先入観を排し、勇気を持ってチャレンジしないことには、何も得られないし、成長もしない。

■Chapter3 満は損を招き、謙は益を受く
+満足は最大の敵
・満足は成長への最大の足かせ
・もうダメだではなく、まだダメだ

+新到三年、皓歯を見せず
・何をするにしても、少なくとも三年間は白い歯を見せることなく、歯を食いしばって、無我夢中で取り組みなさい
・自分は一人前になった そんな風に感じた時ほど、落とし穴にはまりやすい

+明確な目標が意欲を引き出し、意欲が潜在能力を刺激する
・「こうなりたい」「これがしたい」という目標こそが、人間の意欲を引き出す源泉となる
・すすむとき上を向いて進め、暮らす時はしたを向いて暮らせ

+つねに問題意識を持つ習慣をつけ、指示待ち族になるな
・指示を待つのではなく、みずから能動的に課題に取り組むようにならなければならない。それができないと一定以上のレベルをこえることは不可能
・何事にも興味をもてば、かなら新たな発見がある。

+努力しなければとおもっているうちは本物ではない
・当たり前のことを当たり前にするのがプロ

+進歩とは変わること。変わる勇気を持て
・起用さと柔軟性を併せ持ち、変わることを厭わない。良いと思ったことは何でも試して見て、うまくいけば、素直に取り言えれた。

■Chapter4 おのれを知り、徹せよ
+己を知る
・自分を知れば、おのずと自分位足りないこと、しなければならないことがわかり、自分を活かす方法、場所もわかる
・自分が長所だとおもっていることが、必ずしもそうでないことは意外と多い。

+上司の意識を刺激することで戦いにかつ
・戦う場所は与えられるものではなく、奪い取るもの。

+何事も徹せよ
・個々の力の和=チームの力ではなく、個々の力の積=チーム力になる
・主役は脇役が仕事をまっとうするからこそ力を発揮できるし、脇役もまた主役がいることでより大きなやりがいを感じることができる。どちらが欠けても組織は機能しないのだ。

+つねに自問自答を繰り返し、正しい努力をせよ
・自分は正しい努力をしているのか、毎日自分に問いかけろ
・鈍感な人間は、自分が間違った努力をしていることに気づかない。
・「知識は力なり」という言葉も、間違った努力をしないための格言となる

+和して同ぜず
・人と同じことをして満足しているようでは、ろくな仕事はできない
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